
AIで仕事が楽になる――そんな話は何度も聞いたことがあると思います。
でも、実際に調べてみると出てくるのはツールの名前ばかり。「結局、自分の店のどの仕事に使えるの?」という疑問だけが残って、画面を閉じたことはないでしょうか。
この記事では、ツール名をひとつも覚えなくていい形でお話しします。
先に決めるべきなのは「どのAIを使うか」ではなく、「どの仕事を任せるか」です。
私はWebサイト制作会社を経営しており、制作の現場でAIを毎日使っています。その中で感じているのは、AIには「使うと確実に楽になる仕事」と「任せると危ない仕事」がはっきりあるということです。
まずは、比較的始めやすく、効果を実感しやすい5つの仕事から紹介します。そのあとで、今の段階では人が握っておいたほうがいい2つの仕事について書きます。
任せると元が取りやすい仕事5つ
書けないまま放置している文章
新しいメニューは始まっているのに紹介文がまだない。求人を出したいのに、募集文のところで手が止まっている。
こういう「書く仕事」は、つい後回しになりがちです。
AIに渡すのは、きれいな文章である必要はありません。
- 鶏白湯ラーメン
- 850円
- 11月から販売
- スープを8時間炊いている
この程度のメモでも、下書きとしては十分使えるものが返ってきます。
もちろん、そのまま公開するわけではありません。ただ、真っ白な画面を前に考え込む時間と、下書きを直すだけの時間では、気持ちの負担がまったく違います。
私自身も、仕事の文章はまずAIに下書きを作ってもらうことが増えました。「最初の一文を書く」という一番重い部分を手放せるだけで、溜まっていた作業がかなり動き出します。
数字を「見るだけ」で終わらせない
売上、予約件数、サイトのアクセス数。
毎月確認していても、「増えた」「減った」を見て終わっているケースは意外と多いものです。
AIには、表を渡してこう聞くだけで十分です。
- 先月と比べて何が変わった?
- どこが大きく動いている?
- 原因として考えられることは?
会話しながら掘り下げられるのが便利なところです。
実際、私の会社のサイトでも、アクセス数が大きく伸びた月がありました。最初は「記事が当たったのかな」と思ったのですが、AIと一緒に内訳を見ていくと、かなりの割合が社内アクセスや自動巡回によるものでした。
数字だけを見ていたら、増えていないお客さんに向かって対策を打っていたかもしれません。
「調べなきゃ」と思ったまま止まっていること
競合の料金、他社サービスの特徴、制度変更の内容。
大事だと分かっていても、調べる時間を確保できない仕事は多いですよね。
ここはAIと相性がいい分野です。
例えば、ネットショップサービス3社の料金比較をしたときは、まずAIに一覧表を作ってもらい、そのあと各社の公式サイトで確認しました。
自分でゼロから3社を回って読み比べるより、圧倒的に短時間で終わります。
ただし、ここだけはルールがあります。
AIが調べた内容は、必ず元の情報で確認すること。
もっともらしく間違っていることがあるので、「調査」と「最終確認」は分けて考えたほうが安全です。
説明しづらいことを図にする
料金プランの違い、予約から来店までの流れ、駐車場の入り方。
文章だと伝わりにくい内容でも、図にすると一気に分かりやすくなることがあります。
とはいえ、「図を作る時間がない」という理由で後回しになりがちです。
AIに、
- この順番で
- この内容を
- 図にして
と伝えると、たたき台としては十分なものを作ってくれます。
私も記事用の図をこの方法で作ることがあります。ゼロから作るより、「形になったものを整える」ほうがずっと早いです。
毎回同じ手順でやっている作業
月末の集計、予約一覧の整理、定型的な返信など、手順が毎回ほぼ同じ仕事です。
うちでは、サイト制作の一部のプログラム作業をかなりAIに任せています。
その中で一番大事だと感じたのは、
- 何をしてよいか
- 何ができていたら完了か
を先に文字にしておくことでした。
これはAI特有というより、外注先に仕事を頼むときと同じです。
「いい感じにやって」では、人でもAIでも期待通りにはなりません。やることと完成条件を言葉にできるほど、返ってくるものの精度は上がります。
任せないほうがいい仕事2つ
「いい感じにして」と頼む仕事
デザインの雰囲気、写真の選定、お店の世界観。
こういう仕事は、頭の中の「なんとなくこうしたい」を完全に言葉にしきれません。
以前、記事の図を「手描き風でやわらかい感じにしたい」とAIに頼んだことがあります。返ってきたのは、線を少し歪ませただけの図でした。
何度修正しても、こちらが思っている「味」にはなりませんでした。
AIには「案を出してもらう」のは向いていますが、「最終的な雰囲気を決めてもらう」のはまだ難しいと感じています。
確認せずに外へ出す仕事
お客さまへの返信、請求書、公開する文章。
AIは、前に決めたルールを別の場面で自然に忘れることがあります。
実際、うちでも「この形式で統一する」と決めていたものと違う内容が、何事もなかったように混ざっていたことがありました。
だからこそ、
最終確認は人が行う。
これは今でも変えていません。
確認を前提に使うなら、AIは非常に強力です。逆に、確認まで手放してしまうと、小さなミスがそのまま外に出てしまいます。
見分け方はシンプルです
結局のところ、線引きはひとつです。
「間違いに自分で気づけるかどうか」
- 文章なら読めば分かる
- 調べものなら公式情報と照合できる
- 集計なら元データと比べられる
こういう仕事はAIと相性がいい。
一方で、
- 正解を言葉にできない仕事
- 確認なしで公開される仕事
は、人が責任を持ったほうが安全です。
最初にやるならこれ
最初の一歩としておすすめなのは、文章の下書きです。
失敗しても大きな損害になりにくく、効果をその日のうちに実感しやすいからです。
今、頭の中に「書かなきゃ」と残っている文章をひとつ選んでください。
完璧に整理しなくて大丈夫です。
- 何について書くのか
- いつから始まるのか
- どんな特徴があるのか
この3〜4行を箇条書きで渡すだけでも、かなり楽になります。
AIは「全部の仕事を置き換えるもの」ではありません。毎日のように発生する、時間は取られるのに判断はそれほど複雑ではない仕事を減らしてくれる道具だと考えると、ちょうどよいと思います。
もし「自分の店ならどこから始められそうか」を一緒に整理したい場合は、導入前の段階でも構いません。お気軽にご相談ください。



