
投稿はしている。写真の反応も悪くない。保存もされている。
なのに金曜の夜に席が空いている。
インスタを頑張っている飲食店ほどこの違和感にぶつかります。手応えはあるのに売上につながっている実感がない。
飲食店のサイトを見せてもらう機会が多いのですが、同じ場所で同じ落ち方をしているお店が本当に多いです。今回は、認知と来店のあいだで何が起きているのかを調査データと現場で見てきたことの両方から追っていきます。
見つけてもらうところまではたぶん成功している
まず、お店を知ってもらう入口としてのInstagramはすでにグルメサイトを追い抜いています。
居抜き店舗.comが2025年に発表した調査では、飲食店を知るきっかけの1位がInstagramで71.1%。2位が家族や友人からの口コミで49.2%、3位が食べログなどのグルメサイトで41.5%、Google マップが37.2%という順でした。
保存される行動も定着しています。ファストマーケティングが2025年1月に実施した調査(対象はSNSで情報収集をするZ世代・15〜29歳の男女)では、気になった飲食店をInstagramのコレクションに保存する人が71.2%、Google マップに保存する人が61.1%。「とりあえずブクマしておいて、後で決める」が普通の動きになっています。
つまり、認知は取れています。保存もされています。ここまでは想定どおりです。
落ちているのは、その先
同じ2025年の調査で、SNSで見て興味を持った店に実際に行くことがあるかを聞いた結果、7割以上が「たまにある(月1回未満)」と答えています。
月1回未満です。
保存した店に月に1回も行っていない。この調査はInstagramで認知されただけでは来店まで結びつきにくい、と結論づけています。
投稿の質の問題ではありません。保存されている時点で写真も店の雰囲気も伝わっています。問題は保存された後です。
保存は「行く」ではなく「あとで考える」
保存ボタンは予約ボタンではありません。
保存した人は、その場で行くかどうかを決めていません。数日後、誰かと食事の約束ができたとき、あるいは今夜どこかに行こうと思ったときにはじめて保存フォルダを開きます。
そして、多くの場合そこで終わりません。同じ調査では、SNSで気になった店の情報を調べ直すときに使うものとして、SNS・サーチエンジン・動画サイトが挙がっており、Google マップも3人に1人が使っています。
保存された写真だけで決める人はそう多くありません。店名を検索してもう一度確かめる。この確認の一手間が入ると考えられます。
そして、確かめに来た人が最初に見るのが、お店の公式サイトです。
確かめに来た人が、そこで引き返す4つの理由
1. 保存された料理がもうない
料理の写真に惹かれて保存した人がサイトでメニューを見る。載っているのが去年の内容で、保存した投稿の料理がどこにも見当たらない。実際に見せてもらうとメニューの最終更新が2年前というお店は珍しくありません。目玉の一品を入れ替えたのに、サイトのほうは前の看板メニューのまま、というケースもよくあります。
行きたかった料理が確認できなければ、「今もやっているのか」が分からなくなります。
2. 営業時間が、サイトとGoogleで食い違っている
これが一番もったいない落ち方です。
先ほどの調査では、気になった飲食店をGoogle マップに保存する人が61.1%いました。保存した人は、行く直前にマップを開きます。そこに出てくる営業時間が実際とずれている。定休日を変えたのにサイトもGoogleビジネスプロフィールも前のまま。
営業時間の間違いは、行ってみたら閉まっていたに直結します。写真が古いだけなら次の機会がありますが閉まっていた人はもう来ません。
サイトを直したらGoogleビジネスプロフィール側も必ず合わせてください。こちらはお店の方がご自身で編集できます。営業時間、定休日、電話番号、この3つだけでも合わせておく価値があります。
3. そこから予約できない
行く気になった人が電話番号しか見つけられない。営業中の店に電話をかけるのは想像以上にハードルが高い行動です。特に若い層は電話を避けます。「後でかけよう」は「かけない」とほぼ同義です。
4. スマホで崩れている
保存フォルダを開いているのはスマホです。飛んだ先が横スクロールしないと読めないサイトなら、そこで離脱します。文字が小さい、地図が読み込まれない、写真が重い。どれも数秒で判断されます。
4つとも投稿を何本増やしても解決しません。入口ではなくその先の話だからです。
これは「食べログをやめよう」という話ではありません
念のため書いておきます。
TableCheckが2022年に行った調査では、グルメサイトを有料で利用していない飲食店が58.0%にのぼりました。利用しない理由の上位は、月額の掲載料が高い(39.0%)、掲載されている評価が信用できない(24.6%)、送客手数料が高い(18.2%)という順です。
すでに払っていない店のほうが多数派です。
やめる・続けるの議論はここではしません。グルメサイトを使い続けながらでも、自分の店のサイトを受け皿として直すことはできます。むしろ、どの入口から来た人も最後は同じ場所を見に来るので、直したぶんは全部の入口に効きます。
直すのに、いくらかかるのか
必要なのは、次の2つだけです。
- メニューと営業情報をお店の人が自分で書き換えられること
- サイトから直接予約できること
弊社の場合、この形にするための導入費用が50,000円、公開後の保守が月額10,000円です。
参考までに、食べログの有料掲載プランは月額27,500円、55,000円、110,000円(いずれも税込)という段階が用意されています。掲載プランの1か月分で、自分の店のサイトを1本立て直せる計算になります。
比べて選ぶ話ではありません。ただ金額の桁を知っておくと判断しやすくなります。
効かないケースも書いておきます
正直に書きます。以下に当てはまる場合、この記事の内容は効きません。
写真を自分で用意できない場合。 サイトを直しても、載せる料理の写真は店側で撮る必要があります。ここを外注すると別途費用がかかります。
すぐに結果が出ない。 保存した人が思い出して検索するまでに数日から数週間かかります。効果が数字に出るまでは早くて2〜3か月です。今週末の予約を埋めたいなら別の手を打ってください。
Instagramの投稿をやめてしまう場合。 この記事は「入口はできている」という前提で書いています。保存されるだけの投稿が続かなければ、受け皿を直しても人は来ません。投稿の代わりになるものではありません。
まとめ
- 知ってもらう入口としては、Instagramがすでに1位(71.1%)
- 保存する行動も定着している(Z世代で71.2%)
- ただし来店は月1回未満が7割以上
- 落ちているのは投稿ではなく、保存した人が確かめに来る場所
- 特に営業時間の食い違いは、行ってみたら閉まっていた、に直結する
- 直すべきは、自分で書き換えられるメニューと、予約できる導線
投稿を1本増やす前に、自分の店のサイトをスマホで開いてみてください。先週インスタに上げた料理が、そこに載っているでしょうか。営業時間は、今の営業時間になっているでしょうか。
出典
- 居抜き店舗.com「【飲食店の選び方】2025年最新調査結果」(2025年)
- ファストマーケティング「SNSでの飲食店情報収集に関する調査」(2025年1月実施/対象:Z世代15〜29歳)
- TableCheck「グルメサイトに関する意識調査」(2022年)
- 食べログ公式および掲載プラン解説記事(2024年時点の公開情報)



